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僕ら× 1st.

第11章 サマサイド --Ior,Thk

「花野と速水ならマリア&トニーはどう?」

"ウエストサイドストーリー"のラブカップルを勧めてみる。
"トゥナイト"とか、この2人なら全然重たくならずに歌えそうだけど?

「ダメよ!あのお話は…」

なのに花野は目をつぶって首を横に振る。

「悲劇でもキャラぴったりじゃない?実際に死ぬわけでもなし」

「縁起でもないこと言ってるよ。ね、花野」

「伊織君がそんなこと、絶対にイヤ」

両親を亡くしているという花野は、死に過剰に反応する。
"死"という漢字をかたくなに書かないことにも驚いた。
花野が書く"3l(小文字エルの筆記体)"がこの漢字に相当するなんて、解る人いるん?

「大丈夫。僕は花野を置いて逝ったりしないよ」

速水は懇願するように見つめる花野を抱き寄せて、頬に何度も軽いキスをする。
速水は口にはしない。
人前でそこは越えないと決めてるんやろか?

だからって……。

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