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僕ら× 1st.

第11章 サマサイド --Ior,Thk

と、にわかに空が暗くなり、ポツポツ→ボタボタ→ザーっと雨が降ってきた。

吹奏楽部の部員たちが、会場の椅子付近に置いていた楽器ケースを慌てて取り込む。

各部の顧問たちがビニールシートを至るところに張りだしたので、生徒も誰彼ともなく手伝いだす。

レインコートをさっと羽織った速水も、眼下に飛んで行った。

と、横でもたもたとレインコートを身につけた花野。

「桃湖は濡れないように屋根のあるとこにいてね」

「花野も持ってきてたんだ。準備がいいね」

「今朝、伊織君からラインがきたの」

そか。
あいつめ、私にも教えろっての。

私1人になったステージ上、タオルを入れたはずだと自分の鞄を覗く。

ついでにスマホをチェックすると、彼氏から『今、起きた』のラインに続いて『雨具いるかも』と速水から入っていた。

タオルを被って雨覆い作業に私も加わろうとした。
ところがステージの階段を1段降りたところで足が滑り、そのまま2段下の地面にまさかの尻もち。

「ったぁ…」

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