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僕ら× 1st.

第11章 サマサイド --Ior,Thk

リハが終わる頃には雨も止み、速水は雨後会場の再設営に、私と花野は体育館での昼食作りに分かれる。

エプロンに三角巾で、切った食材をコトコト煮込む。
ちょうどエプロンで腰回りが隠れて、良い感じ。
舞台でも、これで立ちたいかも…。

花野は"A Lover's Concerto"を、ややスタッカートを効かせながらハミングして上機嫌。

できあがりの頃、体操服の友だちを連れてやって来た速水が訝しげな表情で鍋を覗く。

「花野…カレーから、すっごく甘い匂いがする」

「でしょ?お疲れさまー。リンゴとハチミツたっぷり。どうぞ!」

カトラリー&お手拭きをあらかじめ揃えていたプレートに、私が白いごはん、花野が3種のカレーを乗せ、速水とその友人に渡す。

すぐ脇のテーブルで早々とがっついていた根岸と並んで座った速水は、「いただきます」とおそるおそる口をつける。

「……なぁ、晄志(コウシ)。これ何だ?」

「カレー色のシロップ?」

変な表現をするヤツやな。
流石、速水の友だち…晄志って名前ね。

「ごはんと合わない、よな?」

「キビシイな…」

横で会話を聞いていて、耳を疑う。
合わない?不味いっちゅうの?

「緑のとオレンジのカレーはフツーに美味しいけど…」

「この、見た目だけは一番うまそうなカレーがヤバいよな…」

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