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僕ら× 1st.

第11章 サマサイド --Ior,Thk

「え?全部美味いよ?」

半分以上平らげている根岸が2人にそう言う。

「先生、味覚にサトリを開いてるな」

速水の物言いに隣の男が笑いだす。

「花野…これ、万人受けしないよ。食べた?」

「美味しいじゃない!あんたらの舌がヘソ曲がってんのよ」

速水は私を無視して花野を見る。

「甘口カレーだから甘いんだよ?疲れた時は甘いものって言うでしょ?」

「そういう意味では疲れは吹っ飛ぶかもな…だけど、もはやカレーとは言えない。何を入れたって?」

「20食当たり、すりおろしリンゴ6個とハチミツ650ml…レシピ通りだよ?」

「分量はよくわからないけど、尋常じゃない気がする…花野が持ってきたの?そのレシピ」

「おかわり」とプレートを持ってきた根岸のために、いそいそと花野が追加。なので、速水への返事は私が変わってあげた。

「私よ?悪い?」

リンゴすりおろすの、大変やったんやから!

「単品ならまだしも、ごはんとの相性、ヤバすぎ。まだ、ナンの方が合うかも」

「だな」と晄志も頷く。

「このメニュー書き換えてやるよ……"甘党も驚愕!噂のシロップカレー"って」

速水がそう言うと、晄志が「ぶはっ」と吹き出した。
失礼な2人だ。

「お、もうこんな時間…俺行くけど、お前ら時間遅れるなよ」

根岸は飲むようにカレーを口に入れ、「ご馳走さま」と席を立った。

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