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僕ら× 1st.

第2章 バンド始動 --Ior,Kn

僕の両親と彼女の母親は、ジャズトリオとして、その世界では有名だった。
お互いの家族がそろった日には、みんなでよく演奏したものだ。

「そう!ま、ジャズばっかじゃなくてもいいんだけど。それに、フラウはヴィオラでもいいし。そこは自由に」

彼女の瞳に捕われたまま、僕は考えてきた言葉をつなげる。

「ええと、何部かな?吹奏楽部?」

彼女が、部活動リストの紙をカバンのなかから探しだして机に広げ、指で活字を追い始める。

「作るんだよ!吹奏楽は、ピアノもドラムもいつも使うわけじゃないだろし、自分たちの好きな曲ばっかやってらんないだろ?」

プリントから目を離した彼女は、再び僕をくりっと見つめる。

「軽音でもないし。僕が部長になるから、フラウリィは副な」

「2人で?」

期待と不安が入りまじった瞳。

「そ、気楽だろ?今日の放課後にでも担任に話してみる。始めなきゃ始まらないしな!」

自分の提案に、彼女から手応えがあることが嬉しくて、僕は今すぐにでも職員室に駆けこみたい衝動にかられた。
天文部もサッカー部も、却下だ!

「私も行く!許可おりるといいね!」

彼女はニッコリして胸の前で手をあわせた。

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