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僕ら× 1st.

第12章 夏鍋パ --Hzm

~宮石帆澄(ホズミ)side~

俺:高3、妹:中1の秋の長い夜。
窓の外からは、マツムシか何かの涼しげな鳴き声が聞こえる。

俺が風呂から上がって、あかりのついているリビングを覗くと、無防備にソファで寝てる妹。

テーブルの上には恋愛情報メインのローティーン向け女子雑誌。
こんなの読む年頃になったんだなぁ。

兄貴はまだ仕事かな?

2人きりの部屋で、ハニィの寝顔を覗く。
そっと頬を撫でる。
ピクリともしない……。

、、近くて遠い。誰よりも。
この距離は、どうしたって縮まらない。。

大丈夫、気づかれない。
大丈夫、おやすみの挨拶をするだけだ。
大丈夫……。

ぷっくりとしたその赤ピンクに、そっと口づける。

来年にはリィが留学先から帰ってくる。
お前はこれからリィと、好きなだけキスすりゃいい。
その先も。

でも、お前のファーストキスは俺のもの。
そこから先は許されないから、せめてキスだけでも。

ハニィを抱き上げて彼女の部屋へ運ぶ。
そっとベッドに下ろして、毛布をかけた。

その細い首に光るネックレスに謝罪する。
ごめん、ハニィ、……リィ、ごめん。
こんな兄で。

これでもう、大丈夫だから。

また兄と妹としてやっていけるから。

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