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僕ら× 1st.

第12章 夏鍋パ --Hzm

1曲目が終わり、ヴォーカルの挨拶に入ろうとしているところ、俺のうしろに座るコがため息まじりに話すのが聞こえてきた。

「はぁ、花ちゃんはやっぱり可愛いなぁ。ピアノも弾けるなんて詐欺よね」

お、妹を知ってるのか。

「お前のが詐欺だよ。中身は男だろ?」

「私は独自路線を行くのよ」

「どーぞ、ご自由に行ってらっしゃい」

思わずクスッとしてしまう返しだな。
どことなくリィに似てる。

「あんたはいつまで引きずんのよ?」

「引きずってなんかないよ。俺は速水とも宮石とも友だち。色恋抜きで、あいつら楽しいし」

ふうん。
この男子は妹を好きだった、と。

「我慢しちゃって。花ちゃんの裸、想像したりしてるんでしょ?」

すげーこと聞く女子だな。
中身は男…なるほど。

「あのなぁ。俺は好きだったコにはそんなことしない」

「じゃあ、私の裸を想像してんのね?」

吹きだしそうになる。
兄貴もそうだったらしく、意図せずして目があった。

「お前…俺、何て言ったらいいか…ごめんなさい」

「え?ヨーダったらまじで?きゃーエッチぃ」

ヨーダ?
変わったニックネームつけられてんだな。
似てるのか?

「その謝罪じゃないから!無理でごめんってことだ!」

笑いをこらえて身体が震えそうになった。

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