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僕ら× 1st.

第12章 夏鍋パ --Hzm

「はい、ありがとうございます!突然ですみませんでした。失礼いたします」

マコちゃん宅に電話して、妹が外食許可をとる。
竹崎ちゃんは親への連絡をメールで済ませたようだ。

で、ヨーダこと依田は?というと、リィに誘われていた。

「お前、できれば来てくれよ。俺、あの2人の面倒見きれないから」

「そうしなきゃ、竹崎と1対1で夕飯行かされそうだったから、助かるよ」

と、自宅に連絡を入れはじめる。
そう言えばこいつ、妹を好きだったとか。

それに、過去でもないようだけど。
先程は妹の半袖シャツから伸びた白い腕をポケッと見てたし。
ま、リィがいるのはわかってるようだし、いっか。

「さーて。人数が増えたから、買い出しは男3人に頼むかな」

兄貴は俺を見て、ニッと笑った。

俺とリィと依田ってことか。
無難なメンバーだ。

俺たち3人は駐車場でほかのメンバーと別れ、表通りでタクシーを拾って自宅近くのスーパーを目指す。

「お世話になります。仲のいいご兄弟ですね」

後部席、リィ横の依田が助手席の俺に話しかけてきた。

「みんな歳が離れてるからなぁ。伊織と兄貴なんて10程違うもんな?」

「和波兄は俺のこと、息子だと思ってる節があるし」

うん、そうそう。
親父気取りだと思う。

「え?伊織も兄弟なんですか?」

「あ、血縁じゃないけど生まれたときから知ってるから。つい、弟扱いしてしまうんだな」

「お前、俺が花野と近親相姦って思っただろ?」

笑いながらリィが言う言葉は、俺の胸に突きささる。

「普通思うよ。苗字が違うのは何か深いワケがあるって考えたよ」

もしも苗字が違ったって、俺は紛れもなく兄。
こんなことチラッとでも考えなくていいようになれればいいのに。

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