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僕ら× 1st.

第12章 夏鍋パ --Hzm

「フラウ、起きて?フラウリィ?」

「うーん」と妹は小さく唸るだけ。
声が掠れて、色っぽい。

「お前だけでも見てくれば?」

「ハニィと見るから意味があるんだよ」

「だよなー。お前、何だかんだ言って、ハニィに触りまくってるだろ?」

妹の耳辺りをゆっくりと這いまわる指の動きは、性的なたわむれにしか見えない。
時折、妹が「んっ」と声を漏らすとリィの瞳が怪しく光る。
口角だって終始、上向きだ。

「起きるかな?っと思って。これでも抑えてるよ?」

確かに、胸や半分露出した太ももには一切触れてはいないけど。

続くリィのいたずらに「あぁん、くすぐったいよぉ」と、ウトウトながら目を覚ました妹は耳に手をやる。

「にゃ?リルフィ?」

「にゃ?にゃあ、にゃ?にゃにゃにゃん」

ふざけたリィが猫語で返した。

……もしかして、こいつも酒を含んでるんじゃ?
さっきからの妹への態度がそれを示唆する。
そういや、マコちゃんも依田も多弁だったかも……?
竹崎ちゃんは何とも言えないけど。

「降りるよ、フラウ。星が降ってくる。一緒に見に行こう!」

リィのセリフに首をかしげながら、窓の外を見る妹。

「!……着いたの?お兄ちゃん、ごめんなさい。私、寝ちゃった」

半分戻ってきたような表情で、俺を見る。

「あれ?伊織君、隣に座ってたっけ…?」

と、妹の頬をリィが優しくはさむ。

「ね、フラウ。夕ごはんの時、何を飲んだの?」

「んーと、オレンジジュース。だったと思うけど?」

俺はシートに顎を乗せて2人のやり取りを眺めた。
マコちゃんが羨ましく思う仲睦まじさか…。

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