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僕ら× 1st.

第13章 ク"ニコ"ム --Shu

「なぜ、親父を殺そうとした?あんた1人でどうにかできる相手でもないだろ?」

アルは、かがんで女の顔を覗きこむ。
すると女は、アルの顔に手を必死に伸ばしてきた。

「おい」

俺が阻止しようとすると、アルが「待て」と制す。

「う……ユゥ……」

ユゥ(侑生)?
アルを知っているのか?

皮が剥けてドロドロした女の手がアルの頬に触れるが、アルは抵抗しなかった。

「あんた誰だ?俺を知ってんのか?」

女が笑ったように見えた。

「名前は?筆談できねぇか?」

女は動かない。

「なぁ、親父の命令で、俺はあんたを消さなきゃなんねぇ。もう、怖いものなんてねぇだろ?……何か、言い残せよ」

「親父さんを殺ろうとしたのなら、アルにも恨みがあるんじゃねぇのか?」

「違う。アル兄を救いたくて刃向かったんだね?」

恐々として見守っていた伊織が、俺の台詞に被せるように口を開き、「大丈夫」と俺の肩にグッと手を乗せる。

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