テキストサイズ

僕ら× 1st.

第13章 ク"ニコ"ム --Shu

「本当にあれはアルの母親なのか?」

「だと思う。出ていったって聞いてたけど、ずっとあの部屋に隠されてたんだな。あの夫婦と同じ…あんな窓もない地下室に…」

「母親だとどうしてわかった?」

伊織がこの家に来る前に、いなくなったのに。

「目がアル兄そっくりだったじゃない。親父がアル兄を指名するのも、違和感があったし」

「そうかなぁ?」

もう、ただれて…会ったことのある俺さえわからなかったのに。
気分屋な親父の指名だって、そんなの根拠にならないだろ?

「瞳の奥の雰囲気というかね。漂う空気?」

こいつの目は、頭はどんな仕組みなんだ?
オーラが見えるのか?
俺には理解不可能な分野になったので、口を閉じた。

だってお前、あの場で吐きそうによろけて真っ青だったのに、何でそんな分析してんだよ?

「実はね、壁にアル兄宛のメッセージが書いてあったんだ。フロム母で」

ヤツはペロッと舌を出して俺に笑いかけた。

お前、スプラッタ克服してんじゃね?
あんな後で余裕じゃねぇか。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ