テキストサイズ

僕ら× 1st.

第13章 ク"ニコ"ム --Shu

***

彩華さんに初めて会ったのは、中1の夏の終わり。
7つ歳上の彼女は女子大生で、でも大学は休学届けを出してきたところだった。

俺の父親、本條の元で雑務をしていた。

在宅時の彼女は、学校から帰ってきたアルや俺にもにこやかにお菓子を出してくれたり、一緒に夕食を摂ったりして、家族の一員のように過ごしていた。

アルは既に機械にはまって隅にいたし、その秋から加わった小5の伊織は、俺たちに笑顔を見せるものの、リビングにそう長居もせず自室にこもりがちだったので、だいたいは俺と彩華さんの2人で過ごしていることが多かった。

サバサバとした背の高い美人だけど、どこかミステリアスで、俺も大きくなったらこんな女性とつきあいたいなと秘かに思っていた。

転機は早かった。
その冬の取りかかりに、彼女は風邪をひいて寝込む。

ベッドサイドに見舞いに行った俺は、彼女が寝ている間に、光ったスマホを覗いてしまった。

どこかの男からの送信。

『彩華。やっと帰国できたよ!今夜にでも会えないかな?』

彼氏からの連絡だと思った。
いて当然の素敵な女性だから。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ