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僕ら× 1st.

第13章 ク"ニコ"ム --Shu

自室に戻って、PCに情報をおとす。

今年の夏までは頻繁にやり取りしている。
内容は天気であったり、体調であったり、そして、再会を待ち望む声。
甘い恋人同士の交信……。

メンバーを並べ、夏に起こった伊織両親事故との関連を調べる。

登録者7名中、3名が犠牲者らしい。

そして、事故後も連絡が続いているのが4名。
さっき送信があったばかりのルイス(改築関係)とホアン(マネージャー補佐)+パヴロとピノ。

パヴロ…内容からするに上司っぽいこの男って、本條または、本條直属の部下だろう。

ピノ…出番は少ないが、突き放しながらも家族であるかのように彩華さんとやり取りする男。
他のメンバーにはない信頼関係が窺える。
最近では、彼女からの休学の報告に『好きにしろ』と一言返している。

もう一度、音楽家のマネージャー補佐のホアンとの履歴を見直しする。
予定が変わっただの物が紛失しただのと、ぼやくのは…そう、夏でパッタリ止んでいる。
その後はカジノで遊んだり、貴金属を買ったりと画像つきで報告されている。

まとめると、彩華さんとスマホで繋がっている7名、うち1名は上司本條側の人間。
うち3名は事故の犠牲者?
うち1名は事故の近辺にいた者。
うち1名は事故との関係は不明だが、伊織の両親と関わっていた可能性がある人物。
そして、残る1名は、家族または、年上の男の親戚?。

彩華さんは、工作部員として本條の指示の下、伊織両親の事故に関連した…きっと間違いない。

彼女本人がどこまで知っていたかはわからないが、突然同居することになった従弟:速水伊織の悲嘆の原因を作り上げたのは、彩華さん、そして……。

本條が指揮しているってことは、親父…アルと伊織の父親も関わっている。
あの事故は、伊織を取り込むために親父が仕組んだ殺戮だったんだ……。

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