テキストサイズ

僕ら× 1st.

第14章 P波 --Khs,Ior

伊織と教室に向かおうとした時、後ろからの透明な声に胸を突かれる。

「伊織君、依田君。おはよーっ」

にこやかに挨拶する、俺の空想上のハニー。
彼女は靴箱を開けると同時に、「ひゃ」と言って閉めた。

「何?」

彼が瞬時に戻り、俺もそれを見守る。

「何かいた…」

おそるおそる彼女は、そのニビ色のドアをコンコンっとノックする。
いや、それ意味ないし。

「動いた?虫?」

伊織の質問に、彼女は擬音で答える。

「んー。フサフサで、キラッ?」

キラッ?ライトか?

「はい、わかる人ー?」

薄笑い伊織が俺に挙手を求めるも、お前にわかんなきゃ誰がわかるんだよ?

「開けた方が早いよ」

俺が促すと、伊織が靴箱の取っ手に手を掛ける。
すると彼女は彼の背にぴゃっと隠れた。
そんな彼女を見て、伊織は口角をにっと上げる。

彼女に頼られるって気持ちいいだろうな。
守ってあげたくなる女のコ、やっぱり俺もそういうタイプがいいなぁ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ