
僕ら× 1st.
第14章 P波 --Khs,Ior
「よし。ピーカー、ブー!」
伊織は楽しそうに靴箱を開け、手を伸ばす。
"フサフサのキラッ"を取り出し、中を見回す。
「虫はいないみたい…テディベアだね。あ、手紙ついてる」
"キラッ"はガラスのまるい瞳だったか。
そのまま彼女には渡さず、手紙を光に透かしている。
こいつは…。
手を伸ばして取り戻そうとする彼女に、指令を下す。
「まず、靴を履き替えよ」
それはそうだと従う彼女に、伊織は取り調べを開始する。
「誰から?心当たりは?僕以外に仲良く喋った男いる?」
嫉妬混じりに問いつめる前に、クマと手紙を返してやれよな。
なのにヤツは、クマの目を覗いたり、ぎゅっと握りつぶしたりしている。
「ねぇ、私のだよ、それ!可哀想なことしないでよ」
彼女の抗議も聞き入れず、クマを調べつつ足を早める伊織は、廊下を曲がって階段を昇る。
ヤツは教室には進まず、更に階段を昇ろうとして振り返る。
「花野、こっち。晄志は、あっち」
子どもみたいな物言いに、俺は苦笑しながらあっちの教室に向かった。
教室に着くと、前のボードに"1時間目変更 第2音楽室"と大きく書かれていた。
そのうち伊織もやってくるだろ。
手紙の報告を聞きたい俺は、誰もいない教室でしばし待つことにした。
5分足らずでヤツは姿を見せ、ボードに気づいて、「始業式パス?」と笑った。
「で、彼女の手紙見たの?」
「うん。まともだった…2年の女のコ。テディにも仕掛けはなかった」
「仕掛け?」
「盗聴とか」
「へぇ……」
慎重なことで。
となるとファンレターか。
伊織は楽しそうに靴箱を開け、手を伸ばす。
"フサフサのキラッ"を取り出し、中を見回す。
「虫はいないみたい…テディベアだね。あ、手紙ついてる」
"キラッ"はガラスのまるい瞳だったか。
そのまま彼女には渡さず、手紙を光に透かしている。
こいつは…。
手を伸ばして取り戻そうとする彼女に、指令を下す。
「まず、靴を履き替えよ」
それはそうだと従う彼女に、伊織は取り調べを開始する。
「誰から?心当たりは?僕以外に仲良く喋った男いる?」
嫉妬混じりに問いつめる前に、クマと手紙を返してやれよな。
なのにヤツは、クマの目を覗いたり、ぎゅっと握りつぶしたりしている。
「ねぇ、私のだよ、それ!可哀想なことしないでよ」
彼女の抗議も聞き入れず、クマを調べつつ足を早める伊織は、廊下を曲がって階段を昇る。
ヤツは教室には進まず、更に階段を昇ろうとして振り返る。
「花野、こっち。晄志は、あっち」
子どもみたいな物言いに、俺は苦笑しながらあっちの教室に向かった。
教室に着くと、前のボードに"1時間目変更 第2音楽室"と大きく書かれていた。
そのうち伊織もやってくるだろ。
手紙の報告を聞きたい俺は、誰もいない教室でしばし待つことにした。
5分足らずでヤツは姿を見せ、ボードに気づいて、「始業式パス?」と笑った。
「で、彼女の手紙見たの?」
「うん。まともだった…2年の女のコ。テディにも仕掛けはなかった」
「仕掛け?」
「盗聴とか」
「へぇ……」
慎重なことで。
となるとファンレターか。
