テキストサイズ

僕ら× 1st.

第14章 P波 --Khs,Ior

「で、誰も来ないけど、俺たちどうしてここにいるの?」

教師はおろか、うちのクラスの生徒だって俺たち合わせて4名しかいない。

「あ、言うの忘れてた。自習だって」

小津とピアノをがむしゃらに弾いていた竹崎が教えてくれる。

「何でここで?」

「クラス委員である私が希望したからよ!花ちゃんと速水の愛の巣で、2人の情事を思い浮かべてのんびりしたいってゆう」

竹崎はどうしてこう、あからさまなんだ。
それに、その不協和音しか奏でないピアノでリラックスなんてできない。

「あのソファのシミ、速水の?花ちゃんの?」

陽に褪せたボルドーのソファは、布の一部が濃くイビツながらも左右対称なロールシャッハの様に見えた。

ソファを見つめながら、伊織がため息混じりに俺に尋ねる。

「これ、帆澄兄ならどう返すと思う?」

そんなの俺にわかるかよ。
修学旅行以降のお前らの関係さえ、俺は知らないのに。
考える素振りをしながら待っていると、伊織がひらめいた様子。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ