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僕ら× 1st.

第14章 P波 --Khs,Ior

「俺らの仕業なら、もっと広がってるよ?」

言ってから、「あぁっ、無理っ!」と真っ赤な伊織は突っ伏した。

まあ、無理で充分。
帆澄兄は経験豊富そうだし。
その方向に幼い宮石ひとりを相手にしている伊織とは場数が違うだろ。

そんな速水を見た小津が、矢を放ち始める。

「あんた、あの後行かなかったの?ホテル」

「俺はそんな軽くない」

突っ伏したまま伊織は答える。

「裸同然の花野に抱きつかれて盛り上がっていませんでした?」

「ひひひ」と小津は下品に笑う。
もしかしなくても、プールのWデートのことだな。

「……悪いかよ?」

突き抜ける攻撃に赤みが引き、逆に青白くも見える伊織は、少しずつ面を上げる。

「あれ?マジで?」

トラップだったか。

「俺は健康優良男子だからな」

開き直った様に言っておきながら、伊織は固まっている。

"竹崎と小津 v 伊織と俺"じゃ、どう見てもまともな俺らの方が分が悪い。
話題を変えよう…。

「そもそもさ、何で始業日早々自習なの?他のヤツらは?」

どう考えたっておかしいんだけど?

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