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僕ら× 1st.

第14章 P波 --Khs,Ior

「情報遅いね。只今マイコプラズマ肺炎流行中なんだよ。学級閉鎖直前なのに、暢気だね」

のんびりと竹崎は自分の髪をときながら言う。
普段はくくっていたが、おろすと背中に届くストレートヘアで、その後ろ姿は宮石に似ていると、今更気づく。

腕組みをして自分を守ろうとする伊織は、俺に会話の進行を委ねる。

「情報を止めてるのはクラス委員のお前だろ?」

マイコプラズマなら潜伏期を考えると…いや、全員か。

「サマフェス出てたから、速水もキャリアかもね?」

小津はわざとらしく咳をした。

その時、担任が部屋に入ってきた。

「あー、お待たせ。夏休みどうだった?」

「アバンチュールを心ゆくまで楽しみました!ね、ヨーダ」

「……へぇ、他の2人は?」

根岸、信じるなよ?
1度限りで忘れてくれるなら、考えてもいいけど。
だけど。

「速水は花ちゃんと外泊だもんね」

星を見ると言って、宮石家に泊まった伊織。
俺も少し疑っている。

「兄貴たちもいたからな?」

「誤解を招くような発言をするな」と伊織は竹崎を睨むが、小津からも攻撃をくらう。

「公認じゃない。簡単に襲えたんでしょ?」

あれだけ死角があれば、どこでだって。
それに、伊織の個室があるんだろ?

「帆澄兄の恐ろしさをお前、知らないのか?ヤツのいる自宅で、花野の部屋に潜り込むなんて絶対に無理っ!しないけど無理!」

そんな怖がらなくても。
こいつ、どうあっても刃向かわないよう宮石の兄貴に洗脳されてんのか?
ガタイはよさげだったけど、ひとりで走りがちな弟を見守る優しい兄貴って感じだったのに。

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