テキストサイズ

僕ら× 1st.

第14章 P波 --Khs,Ior

「兄は本條か俺の下につけられたか、あるいは消されただろうな。執事2人も同様。そして、妹は親父の愛玩ドール…」

…そう言われてゾッとしないわけがない。

兄貴たちなら、妹の奪還を謀るはずだ。
おとなしく言うことを聞いているフリをしながら、助け出す。
でも、やり遂げられるかは…有能な兄たちをもってしても、暗闇で針に糸を通すようなもの。
それに救い出されたとしても、花野の瞳はもう…。

小柴さんがいなければ、何もかも失った僕はどうしていただろう…。

黒幕親父に感謝して、ひたすら仕えていたかもしれない。
親父の寝所で、彼女が引き裂かれているのも知らずに。

「ありがとうございます。助けていただいたこと、深く深く感謝しています。小柴さんがいなければ、僕はクグツ(傀儡)になっていました」

「この件について俺が動いた理由は、お前の2つ目の質問と関連してるんじゃないか?知りたいのは、俺の彼女のこと…お前の彼女の運命だろ?」

流石、僕の目指すブレーン。
このタイミングで現れたのは、なぜ?。

「はい…小柴さん。彼女、いらっしゃるんですよね?」

もう結婚して子どもの1人や2人いてもいい年齢。
涼しげな目元で長身の彼に、相手がいないとは思えない。

ブレーンの結婚は、認められているはず。
なら、なぜ独り身なの?
なぜ、あの家には表だって女性がいないの?

アル兄の母親はどうして失踪に見せかけられたの?
僕の母親はどうして親父と……。

もう何が何だかわからなくなってくる。

最優先は僕の最愛…花野のこと。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ