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僕ら× 1st.

第14章 P波 --Khs,Ior

「先日のアルの母親について少し話そう」

話が飛んだ。
僕のショックを、和らげるため?

アル兄の母親の件が花野と関係するの?

親父が言っていた。
"俺を殺そうとした女"だと。

彼が暫く黙っているので、僕は質問をした。

「5年以上前に姿を消した理由が、親父への謀反?それならなぜ今になって?」

「アルの母親が6年程前に閉じ込められたのは、お前を消そうとしたからだよ」

「僕……?」

6年前…あの崩落事故のことか?
でも、あの現場には僕は行く予定もなかったけど……。

だけど、アル兄の母親は僕に"ごめんね、ありがとう"と言ったんだ。
"殺そうとしてごめんね、息子を守ってくれてありがとう"と……いう意味だったんだな。

そしてその夜の親父の呪いの言葉、忘れやしない。
ここに繋がるのか……。

「"愛人の子。お前が生まれたせいで、アルは母親を、俺は最愛の妻をなくしたんだ"」

心の中で言ったつもりが、動揺続きの僕は呟いていた。

「親父がそう言ったんだな。酷い父親もいたもんだ。お前に全く罪はないのに…なぁ、伊織。アレを父と思うな。お前の父親は、速水と和波だ」

「……うん」

「親父にお前らの所在がバレた。もう致し方なかったんだ。俺は情報をすり替えた。
そして事故は起こされた。この件はここで終わる。質問するなら、また今度」

僕と花野の両親の事故…あれは、やはり事件だったのか。
詳しく聞きたいが、彼にも時間がないだろうし、それに頭の中もこれまでの情報で反乱気味だ。

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