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僕ら× 1st.

第14章 P波 --Khs,Ior

***

先日は和波兄に送ってもらい、普段を取り戻した僕。

数日あけた今日の部活動は出席しなきゃな。
もう残された時間は少ないんだから。

なのに、花野ったら咳が出るとかで欠席。
マイコプラズマが移ったんじゃないよな?

…帰りに宮石家に寄ってこ。

仕方なく羽賀と部活。

「あんた、何か他の楽器できないの?ドラムだけなんて合わせにくぅ!」

…これは早退して花野の見舞いに行こう。

「リコーダーならできる」と、とりあえず譲歩を見せておいて帰ろうと思った。

「…伴奏はできないよね。いらないわ。でも、リコーダーで変なこと思い出した」

羽賀が僕のドラム前までやって来た。
あ、何か嫌な予感…。

「聞きたいんだけど、リコーダーって挿入したことある?」

「は?」

何のことかわからない僕に、少しずつヒントを出してくる。

「花野に」

花野?と、首を傾げる僕は、羽賀の次の言葉でやっと理解した。

「エッチの時に」

「はぁ?何を言ってんだよ?そんなっ…」ことするわけないだろ?…僕たちはまだ…。
いや、そういう関係になれたとしても、リコーダー?……うーん?

「やっぱしないかぁ…」

「へぇ、するんだ…」リコーダーって、あんまり掃除しないけどキレイなんだろか?それに、細いし…。ソプラノリコーダーだろ?

「うん。それでね、血が出たの」

「なら、やめとけよ。お前、それじゃなくても病み上がりだろ?」

「入院中にね、我慢できないって…」

羽賀は、僅かに笑いながら言う。
求められて嬉しいってことか…。

「いっやあ?それ、彼氏なんだよな?…俺は、別れた方がいいと思う」

あり得ないだろ?入院中の彼女を襲うなんて。
少々の風邪で自宅で寝てるならともかく…。

「ありがとう、考えてみるわ。今日は花野もいないし帰ろ?ドラムだけシャカシャカされて音がまだ耳に残ってんのよ」

「ああ、悪かったな」

いつものふてぶてしさを垣間見せて、羽賀は先に音楽室を出ていった。

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