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僕ら× 1st.

第15章 学校祭 --Ar,Shu,Ior

立て続けに12月は文化祭。

俺と柊の高1前半クラスの出し物は、"ブラック版シンデレラ"のお芝居。
舞台袖には、俺が作った小道具が置かれている。

シンデレラの義姉らが、ガラスの靴に合わせて自らの足をサイズ調整する話。

俺はお役ごめんで、大道具だった柊と共に自由行動。

中等部のブースをうろつく。

つもりはなかったのに昨夜、伊織に最後の文化祭だからと招待されたから。

「お、ここじゃね?伊織のクラス」

"3-C・3-F"と書かれた看板を、見つける。

「アル先パイ!柊先パイ!いらしてくださったんですね!どうぞ、入ってください!」

あ、マコちゃんだ。

「いい匂いしてくるなぁ」

柊は入ろうとするが、ちょっと待てと止める。
2クラス合同だったぞ?
"まさか、彼女いねぇよな?"と、柊に目で訴える。

「クッキーカフェへどうぞ!いろんな種類のクッキーをご用意してます!飲み物もありますよ?」

「是非食べていってください!お口にあうかわかりませんが…」

「可愛い女のコが作ってるんですよ?食べなきゃ損です!」

ためらっていたけど、どんどん勧誘されて柊が「腹くくれ」と入っていく。

「先パイ。お飲み物、何がいいですか?」

席に着くと、すぐにマコちゃんが尋ねてきた。

「あぁ、コーヒー」

「俺も!」

「かしこまりました!速水!出番よ!」

マコちゃんに呼ばれて、のれんから面白くなさげに出てきた伊織に吹き出しそうになった。

「おー、伊織!来てやったぞ。…何だそのヒラヒラ…ははっ、中途半端な女装しやがって、スカートはけよ、ミニの」

そこらのおっさんのように柊が囃すと、「いらっしゃいませー」と棒読みで返してくる。

体操服の上にフリルのついた白いエプロン姿の伊織。
頭にはホワイトブリム……。

「イオ。似合うな…」

「ふん」

伊織は、少し顔を赤らめてコーヒーをサービス。

何だ?
罰ゲームか?

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