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僕ら× 1st.

第15章 学校祭 --Ar,Shu,Ior

伊織から注がれたコーヒーを飲んでいると。

「莓クッキーはいかがですか?」

バスケットを持った女生徒がひとり、寄ってきた。
でも、俺らに皿がないことに気づいて、「すみません」と慌てて謝る。

「忙しそうだね。俺、取りに行くよ」

柊は席を立ってそのコについて行く。
マメなこって。
俺の目は、自然と柊を追った。

すると、のれん奥の作業場が視界に入り。
……そこで彼女を発見した。

ポニーテールの彼女を見たのは、初めてだった。

皿を手にした柊が、すかさず招く。

「あ、花野ちゃん!それ何?」

…わざわざ呼ぶなよ。

のれんから顔を出した彼女は、ミトンをした手に持っているバットを少し傾けて、柊に見せている。
中身は見えないが、そのコロンとした声が聞こえてくる。

「白いのが一押しミルクで、黒いのが絶品ショコラ。できたてです!」

「特に黒い方がオススメなんだよな…花野的に」

横からやって来た伊織が、彼女の持つクッキーに手を伸ばそうとすると、彼女は持ち替えて拒否する。

「ダメ!これはお客様のだよ!」

「まだまだ、いっぱいあるじゃないか」

何となく甘えた風な伊織。
久しぶりに見る2人の会話シーン……。

「食べるならあっちで!」

やっぱり仲良いなぁ。
てか俺の耳、花野ちゃんが喋るとピクピク動く…。
バレないよな……?

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