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僕ら× 1st.

第15章 学校祭 --Ar,Shu,Ior

「伊織、邪魔すんなよ。花野ちゃん、クッキーちょうだい」

「あ、お待たせしてすみません。柊先パイ…吉坂先パイもいかがですか?」

柊の後ろについて出てきた彼女は、片手のミトンを外して俺たちのテーブルに置き、その上にバットを乗せる。

「あ…うん、じゃ、1個ずつ」

名前を呼ばれて顔を上げてしまい、目が合った。
と、ニッコリ笑ってくれる彼女。

俺の全てに入ってくる。
顔に血が上っていく感覚…まずいっ。

俺は花野ちゃんの瞳から顔を逃がし、皿の上の莓クッキーを見つめた。

次いで柊が話しだす。

「俺は、黒全部」

何っ?
俺がうつむきがちに窺うと、柊がニコニコと花野ちゃんに皿を差し出していた。

柊の注文に、トング片手の彼女も戸惑う。

「可愛い花野ちゃんのオススメだもん?」

柊のヤツ、何で花野ちゃんに絡んでんだ?

「お、お持ち帰りになさいますか?」

「いや、ダメだろ。在庫激減だよ。バカ兄の戯れ言なんて聞かなくていーから!」

近くのテーブルにサービスしながら聞き耳をたてていた伊織が入ってくる。

「冗談だよ。1個ずつよろしく」

「てめぇ、最初からそう言えよ?」

自分の彼女を困らせたことが気に入らないらしい。
その変なメイド姿ですごまれてもな。

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