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僕ら× 1st.

第15章 学校祭 --Ar,Shu,Ior

***

高等部校舎へ戻るアルは、寂しそうな顔は見せない。
自分の知らなかった彼女を見ることができたと、機嫌は上向き。

ポーカーフェイスはまだまだだけど、頑張ってるじゃねぇか。

「なぁ。最後のダンス、誰かと行く?」

高等部文化祭のフィナーレはマスカレイド。
自由参加で仮面をかぶって踊るのだけど。

「俺がやるわけねぇだろ」

だよな。
お前の場合、仮面かぶるならプロレスだよな。

「聞いただけだよ」

俺もあんまり興味ないし。
と、そこへ1年の女のコが近づいてきた。

「アル先パイ。あの、少しお話いいですか?」

横目で彼女を見るだけで、構わず足を進めようとするアルを制す。
お前、名前呼ばれたんだからな?
"足を止めて聞いてやれ"と睨みつける。

「……」

すると止まったヤツは下唇を軽く噛み、目を細めて彼女に首を傾ける。
身体も向けろ!
"ダメ"と即座に言わないだけマシだけどさ。

「じゃ、俺またあとで」

同席するわけにもいかない俺は、片手を挙げて退散した。

あんな調子で大丈夫かよ?
数年前の鬼畜ぶりがよみがえったか?

ため息混じりに自分のクラスに入り、何度も稽古で見たシンデレラを鑑賞する。

「クックをごらん」とハトが鳴く。
アルの作ったリアルな血糊が流れる……。

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