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僕ら× 1st.

第2章 バンド始動 --Ior,Kn

昼食を終え、机をもとの位置に戻してひとり、思いにふける。

海獣部とかがあったら迷わず入るんだけどな。
つい先日に図書館から借りてきた、海獣の本を開く。

今はもうこの星に存在しないとされる優しい絶滅種海獣、ステラーダイカイギュウの項目を読みながら、リルが私たちの住む銀河について話していたのを思いだす。

「え?この星は46億歳なの?」

雨あがりの図書館帰り、私と同じように本を数冊入れたカバンを背負うリルと、星の話で盛りあがった。

「そう。隕石の衝突痕とか研究したらわかったんだって」

この手の話を始めると、リルの瞳は輝きだす。
私はその光が大好きだった。

「太陽の寿命があと55億年程で、終末期は膨張していくんだって。それにまわりの惑星は影響されて、この星は早くて17.5億年後に終わるって予想があるんだよ。そのころにはすでに人類が絶滅しているかもしれないけど」

この惑星だけでなく、あの太陽にも終わりがあるということが衝撃だった。

「見てみたいけど、叶わないだろうな」

水たまりをぴょんと飛びこえ、ニッコリ笑って話していた。

「リル、長生きしなきゃね」

そう言うと、すっごく笑われたなぁ。

私はリルには永遠に生きていてほしい、というか、リルの生命が尽きてしまうなんて想像もしたくないんだけどな。

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