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僕ら× 1st.

第2章 バンド始動 --Ior,Kn

チラチラと光が舞う春の暖かいひざしのなかで、そんなことをぼんやり考えていた昼休み。
突然、リルに声をかけられた。
今朝から私を悩ませ焦らせていた、部活動についての話だった。

「ピアノとドラムで組まない?」

リルから繰りだされる言葉はとってもとっても魅力的で、すぐに私は引きこまれた。

既存の部活動を見まわすばかりで、新たに部を作るなんて、考えもしなかった。
さすがだなぁ。

いつも、感心する。
何でもできて、物知りで親切なリル。
リーダーシップもあって、ボケッとしている私のこともぐいぐい引っぱってくれる。

リル、剣道部に入ると思ってたのにな。
竹刀を振る彼は、それはそれは凛としてカッコいいんだから。

でも、ドラムのリルもハンサムモンスターなんだよね。
普段穏やかな彼が力強くかき鳴らすと、ピアノそっちのけで見入ってしまう。

誰も知りあいのいない部活に、ひとりで入ると不安だった私なのに。
なのにこれからの放課後、リルと同じ活動ができるなんて!と、私は胸を踊らせた。

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