テキストサイズ

僕ら× 1st.

第15章 学校祭 --Ar,Shu,Ior

そして小柴さんの話でいくと、柊兄の彼女は情報収集を兼ねる工作員……。
仕事中に何か事故に巻き込まれたのか?
アル兄が、損傷は脳だと言っていたけれど。

「彩華さんはどうして動けなくなったの?」

「彼女は本條から可愛がられていて、崩落事故の秘密を知っていて…なのに柊になびいたから制裁を受けた。としとこうか」

と、言葉を濁した。

事故ではない……?

そうか、彩華さんは本條の女だったんだ…。
本條か柊兄かなら、圧倒的に柊兄だろう。
比べるまでもない。

今でも毎日通いつめて。
花を飾って。

どんな制裁…もう聞くことも…いらないか。
知ったところで僕は、何もできやしない。

屋敷に幽閉されていた彩華さんを柊兄たちは病院に預けた…。
意識は戻らないけれど、幾分マシということか。

ふと思う。
僕が帰ってくるまで花野を閉じ込めて、誰にも触らせないようにできたら…。

閉じ込めないまでも僕を待っていてと、約束を取りつけたなら……。

いつになるかわからないその時のために。
帰ってこないかもしれない僕のために……。

それができれば、どんなに幸せだろう。

花野…こんな僕でごめんね。
隙間をかいくぐる妙案が浮かばないんだ。

彩華さんを握られているアル兄と柊兄を巻き込むには、甚だ危険…。
帆澄兄や和波兄にはこんなこと、欠片も言えるわけがない……。

未来を何も考慮せず、"助けて!"と声を限りに叫びたい。

ダメだ。
まわりを巻き込んで逃げることばかり考えちゃあ。

これは花野を守るため、引いては僕のため。
強く、強くならなくっちゃ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ