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つきあうふりの伊織君は、前にもまして優しくて、"可愛い"とか"好き"って言ってくれる。
部活のない日も毎日、家まで送ってくれる。
だから、とても嬉しくて…だから、とても悲しくなる。

マコたちから、"愛されてるねぇ"とか言われて、つい喜んでしまう。

でも、それは誤解なんだよ。
彼は演技力があるから…。
もう困っちゃうよね。

現実は、妹。

フリだから。
わかっているのに、伊織君をどんどん好きになる。

もっと伊織君に、甘えたくなる。

私、つきあっているふりするの辛いよ…。
伊織君からのフリの好きを本気にしちゃってるよ…。

……伊織君に私の気持ちを伝えたい。

ねぇ、来年のバレンタインデーに告白しても私、いいかな？

そんなことを考えた、あれから1年が経った14歳、12月の終わり。