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僕ら× 1st.

第16章 Lost --Khs,Ior,Kn

まぁ、わかっていたけど、ここまで汚い女だったんだ。
サセコって可愛いく呼んでやるにも値しない。
それもこの受験シーズンに、か……。

彼女が試験を落とすことはないと思うけど、体調はわからない。
思い上がりかもしれないけど、これ以上のショックを与えたくない。

それに、あの留学前に音楽室にあった密通文書は栗田の仕業だったか。
確かに生ぬるいな。
見つけたのが花野でよかった…。

そこへ、ノックの音がして、開けると再び柊兄だった。

「聞いた?」

またひとりで来てくれたことはありがたい。

「素晴らしい情報をありがと」

柊兄を部屋に通し、ディスクを返す。

「何を考えてる?」

教えられるわけがない。
柊兄やアル兄は巻き込めない。

「俺は俺のやり方で花野を守る」

小柴さんや柊兄のやり方とは違う、僕のやり方で守りきってみせる。

「あのセラとかいうクソのことは好きでもないんだろ?」

セラ?

「名前も今、知った」

「戻ってこい」

「もう、花野を泣かせた。進むしかないよ」

当日のうちに知られるとは思っていなかった。
もう少し、彼女と一緒にいたかった。

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