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僕ら× 1st.

第16章 Lost --Khs,Ior,Kn

新聞部の男も流れをつかめずに戸惑いを見せる。

「…何の話?」

宮石、何の本を読んでたの?
彼女がパタンと閉じた表紙には『今はもういないあたしへ…』。
意味深なタイトル……。

「宇宙論でしょ?」

不思議そうに彼女は自分の片頬に手を添える。

「宇宙論?」

「ずっと考えてるの。全ての物体に感情は発生する?信号を出さない、または出していてもわからないだけなの?変化するのは思いがあるから?」

哲学的な話になってきたぞ…。

「この髪の先っちょは、"誰かに会いたい"と思ってると思う?」

自分の髪を一束つまんでフルフルと動かした。

宮石の質問に返せない新聞部の彼は、そろそろ自分の過ちに気づきだしたようだった。

「…傷つけたなら謝るよ、ごめんなっ?あんな男、すぐに忘れられるよ。宮石ちゃん、可愛いから大丈夫だよ。なっ、ヨーダ!」

……俺に振るなよ。

その時、予鈴とともにバタバタと男が駆け込んで来た。

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