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僕ら× 1st.

第17章 水の中 --Khs,Ar,Thk

~吉坂侑生side~

寒さ厳しい、この2月。
伊織が、花野ちゃんと別れた。
伊織から花野ちゃんの手を離した。

おかしいとは思っていた。

クリスマスも正月もお互いの誕生日も、伊織はほとんどの時間を家で過ごしていたから。

だけど、破局するにしたって伊織から?
そして、別の彼女をこさえて?

そんなこと、あるわけがない。
信じられるわけもないのに。

ここは、静観しよう。
だって、あんなに仲の良い2人。

バレンタインチョコだって花野ちゃんから貰ったそうじゃねぇか。

心配になって花野ちゃんの様子は見に行った。
そりゃ元気はなかったけど、詳細なんか尋ねると泣かしてしまいそうで。

些細な喧嘩をしてるだけだ。
伊織が拗ねているだけだ。

俺が仲介するまでもない。
この件で俺が出ると、伊織に俺の気持ちがバレかねねぇ。
きっと俺は、嫉妬混じりにヤツをなじってしまうから。
柊がフォローに入ってくれているから。

その内、何事もなかったかのように2人は手を繋ぐだろう。
そう思っていたのに。

彼女に背を向けたまま帰ってこない伊織。
わずか1か月の間に、こんな深刻劇になるなんて。

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