
僕ら× 1st.
第17章 水の中 --Khs,Ar,Thk
『吉坂君、進級おめでとう』
『ありがとうございます』
『見つからない?』
『はい、まったく』
『本当に乗ったのか?名前だけじゃない?』
『それは俺も考えてます。でも、理由もわからない』
『花野はバレンタインに別れたと言うんだ』
流石、和波さんのPC。
一発で花野ちゃんの字が出てきた。
花野ちゃんのピアノは、いつの間にか高い音。
次いで、感じが変わった……悲しい音?
『そうですね。でも今回、彼女と卒業旅行に行くと聞いて、相手は花野ちゃんだと思っていました』
そうだよ、伊織。
バレンタインに喧嘩したけど、仲直りして旅行に行くんだと思ってた。
どっちも俺は、めちゃくちゃショックだったんだぞ?
『あのコに乗り換えたのが解せなくてね』
『俺も信じられません。あの女は評判もよくなくて、一部では別れさせ屋のビッチって呼ばれてましたから』
亡くなった彼女には失礼かもしれないけど、事実だろ?
『あの小柴さんって伊織をひきとった男はマトモなの?』
あの親父の参謀を務めるくらいだからマトモなわけがない。
だけど。
『小柴さんは俺らの親父の秘書で、きっと親父より伊織を可愛がっていました』
両親をなくした伊織に親近感があるのか、口にはしないけど気にしていた。
その小柴の配下である伊織に、何が起きたのだろう?
そういえば、去年の夏あたりから益川も見てねぇ。
『そか。留学中の俺の弟が現場に行ったんだけど、小柴さんを見たらしい。いい人ならいいんだ』
いい人?
伊織を可愛いがってはいたけど、いい人なんだろうか?
更に曲調を変え、左右の腕を交差させながら弾く彼女を見つめた。
『ありがとうございます』
『見つからない?』
『はい、まったく』
『本当に乗ったのか?名前だけじゃない?』
『それは俺も考えてます。でも、理由もわからない』
『花野はバレンタインに別れたと言うんだ』
流石、和波さんのPC。
一発で花野ちゃんの字が出てきた。
花野ちゃんのピアノは、いつの間にか高い音。
次いで、感じが変わった……悲しい音?
『そうですね。でも今回、彼女と卒業旅行に行くと聞いて、相手は花野ちゃんだと思っていました』
そうだよ、伊織。
バレンタインに喧嘩したけど、仲直りして旅行に行くんだと思ってた。
どっちも俺は、めちゃくちゃショックだったんだぞ?
『あのコに乗り換えたのが解せなくてね』
『俺も信じられません。あの女は評判もよくなくて、一部では別れさせ屋のビッチって呼ばれてましたから』
亡くなった彼女には失礼かもしれないけど、事実だろ?
『あの小柴さんって伊織をひきとった男はマトモなの?』
あの親父の参謀を務めるくらいだからマトモなわけがない。
だけど。
『小柴さんは俺らの親父の秘書で、きっと親父より伊織を可愛がっていました』
両親をなくした伊織に親近感があるのか、口にはしないけど気にしていた。
その小柴の配下である伊織に、何が起きたのだろう?
そういえば、去年の夏あたりから益川も見てねぇ。
『そか。留学中の俺の弟が現場に行ったんだけど、小柴さんを見たらしい。いい人ならいいんだ』
いい人?
伊織を可愛いがってはいたけど、いい人なんだろうか?
更に曲調を変え、左右の腕を交差させながら弾く彼女を見つめた。
