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僕ら× 1st.

第17章 水の中 --Khs,Ar,Thk

『ごめんな。こんなこと実の兄貴に聞いて。けど俺もあいつのこと昔から知ってるから』

何たって、伊織のオムツを換えてんだもんな。
てことは、花野ちゃんの、も……?

わ、何考えてんだ俺。
和波さんは兄貴なんだから当たり前だろ?

いや、当たり前なのか?
えーと、2人の年の差は?

『あの、和波さんっておいくつなんですか?』

"25"と兄貴は指で教えてくれた。
だったら、花野ちゃんとは10も離れてる……。

いや、オムツっていつまでするもんなんだ?
花野ちゃんが0才で和波さんが10才、2才で12才、4才で…。

俺、何こんな超ド級の単純計算してんだ?

それに、こんなことにこだわるなんて馬鹿げてる。
でも気になる……。

『和波さんって、花野ちゃんのお世話もされたんですか?』

俺が打ち終わり、和波さんはキーボードに両手をかざすけれど、そのまま手を止めて俺をきょとんと見る。

そして「くっ」と笑った。
笑われた…やぱし…。

口元をゆるませた和波さんは、俺の質問に答えない。
それが答えだった。

ペダルを踏んで、流れるように花野ちゃんは弾く。

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