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僕ら× 1st.

第3章 2人の証 --Ior,Hzm

「伊織、どうせ行かなきゃなんねぇんなら、早いほうがいいぜ?今なら、まだ彼女ちゃんをひとりにしてもそんな悪い虫、つかねぇって。さっさと告白して行ってこい」

「…考えさせてくれ」

悪い虫…彼女を可愛いとウワサする男はそこらにいるけど、鬼気迫る状況ではない。

あれから彼女は、サッカー部の練習を見にいくわけでも、サッカーの話題を持ちかけるわけでもないし。

たしかに、本格的に周囲が色めき立つ高校や大学に入ってから留学するより、今だよな。
けど、1年か…長いな。
告白してつかまえておくべきなんだろうか……。

「お前に決定権はないけど?女が必要なら現地で調達しろ」

ああ、あんたはこういう男だよな。
この親父に対して交渉の余地は、きっとないだろうけど、いちおうしておくか…。

「留学期間、1シーズンの3か月でどう?」

「あ?一生、ガーボロジー(ゴミ調査)がいいか?」

「ぐ……」

「決まりな。学校にはすでに話通してある」

勝手に決めてんじゃないよと睨みつけるも、親父の保護下にいる未成年の僕にはあとの祭りだった。

「あと、この部屋、見苦しいぞ?アルっ!お前、次期総帥の自覚あんのか?何とかしろ!」

「ちっ。イオのおかげで、とばっちりくっちった」

親父がバタンとドアを閉めて出ていったあと、アル兄は舌をチロッと出した。

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