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僕ら× 1st.

第3章 2人の証 --Ior,Hzm

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留学が避けられないのなら、やることがある。

昨夜ベッドのなかでも考えたが、やっぱり愛の告白は時期尚早。

自分が戻ってくるまでの1年間、男と遊ばずに待っていてほしい…その気持ちでいっぱいだが、これは僕の身勝手だ。

それに、お断りされてしまっては何のための留学か。
柊兄には明かしたが、僕がブレーンを目指す動機は、彼女を迎えいれるための器がほしいからなんだから。

翌日の昼休みに僕は、職員室に向かった。
顧問はデスクに向かって何やらメモをとっていた。

"うめぼし、なっとう、あじのり、さけふれーく"
ん?買い物リストか?ご飯のおともばっかりだな…。
せめてフレークは片仮名だろ?

暇そうなので、遠慮なく声をかける。

「1年で帰ってくるから、同好会続けさせてね」

「続けるよ。宮石もちゃんとやってくれるだろうし」

「ホントは僕がいなくなったほうが嬉しい?」

顧問の目を覗きこみながら真意を測る。

「生意気なお前がいなくなるのは、嬉しいような寂しいような」

ペンとメモに添えた手は不動のまま、まっすぐに僕に目を向ける顧問は、ウソは言っていないように見えた。

「先生、前に言ったから覚えてるとは思うけど、ハニィには人のあばらを簡単にへし折る兄貴が控えてるからね?僕だって連絡あったら即、戻ってくるし」

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