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僕ら× 1st.

第18章 雲の中 --Shu,Kn

~宮石花野side~

伊織君の信じがたいニュースから何日経ったんだろう。

執事の白峯さんが、突然女性を連れてきた。
宮石の親戚と言われて、その場にいたお兄ちゃんと驚きながら挨拶する。

少しママに似た女の人、美波さん。

彼女は衰弱していて、歩くのがやっとって感じだった。
状態も落ち着かないので、美波さんがこの家に暮らしていることは、他言無用と言う。

そりゃしないけど、今までどこにいらしたんだろう。

彼女の体調を考えて、刺激は少な目にと白峯さんが緊張した面持ちで言うので、私もお兄ちゃんも深く追究できなかった。

美波さんに用事がある時は白峯さんを通すから、余計に遠い存在。
それだけ状態が安定してないのかな?
いつか、仲良くなりたいな。

彼女はどんな本が好き?と白峯さんに尋ねてみたけど、静かに首を振られただけだった。

私も人の世話どころじゃなくて、自分を保つのに一杯いっぱいだったから、食事も別の美波さんは私とあまり接触のない奥座敷の人になった。

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