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僕ら× 1st.

第18章 雲の中 --Shu,Kn

「さっきの図書カードは…」

あ、名前書いてあったものね。
彼の名前ったら女の子でもいけるけど、あのカクっとした字は男のコっぽいよね。
ま、隠さなくてもいっか。

「あ、その似ている男のコのです。同じ本を読んでみたくなって、ストーカーしてるんです」

「読書のストーカー?斬新だね」

と面白そうに口を隠す。
私、笑われてる?
何かすごくニヤニヤされてるんだけど…。

「俺にもいるよ。会えないけど大切な女のコ。少し、キミに似てる……」

と、真面目な顔に戻った彼は、ポツリと言葉を選ぶように話しだした。

「会えないんですか?」

「…うん。でも、今でも大好きだよ。いつかまた会える。キミも、きっと彼に会える日が来るよ」

そう言った彼の揺れる瞳を見つめる。
この人、何だか泣きそう…。

「そうだと嬉しいです」

いつかまた会える、思いは一緒なのね。
と、会いたいという願いがぶわっと目頭を熱くする。
ぱちぱちとまばたきをして2度目の涙をしまいこんだ。

少しの間、お互いに景色を眺めた。
高くのびた百日紅の鮮やかなピンクの花が、足元にひらひらと舞う。

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