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僕ら× 1st.

第18章 雲の中 --Shu,Kn

***

次の休日は雨降り。
でも今日も、もしかしたら!

和波お兄ちゃんにひき止められたけど、早いめに帰ると言って家を出た。
お気に入りの水玉の長靴を履いて、内側が花柄の傘をさして、大きめボタンのレインコートを着て、行くんだ!

それに、伊織君も…もしかしたら帰ってくるかもしれないでしょ?
こんな雨の日なんだもん!
レインマンに会える日でしょ?

図書館が見えてきた頃に、雨が軽くなった。
でも、お日様は顔を出さない。
これじゃあ、虹が見えないなぁ。

と、そこへ、ゲートから傘の男の人が歩いてきた。
あのシルエット……彼かな?

傘の下から、そっと窺ってみた。
あれ?

「花野ちゃん、おはよう!」

「おはようございます。早いですね!」

「こぉんな雨降ってるのに来たの?」

2人で図書館のゲートに向かい、傘をたたむ。

「先パイこそ、私より遠いですよね?」

「花野ちゃんに会えると思ったから!」

明るい笑顔で元気づけてくれる。
こんなお兄さんがいて、伊織君も楽しかっただろうなぁ。

「ありがとうございます」

と、館内を見回す。
自習室には数人の学生ばかり。

彼は、まだ。

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