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僕ら× 1st.

第18章 雲の中 --Shu,Kn

「ははっ、自己紹介してなかったね。俺、世尾湊(ミナト)」

と、名刺と名刺ケースまでいただく。
嬉しい!

だけど、聞いたことない…。
速水とか吉坂とか本條とか、全然かぶってないんだなぁ。

世尾湊さん……。
ニックネームは"みーくん"かな?
"せおっち"かな?

名刺ケースの秘密を聞いていると、彼のスマホが静かな震動音を出した。
私に断って彼は通話を始める。
と、スマホから聞こえてくる声…。

「リィ兄!もうっ、行くよっ?早く帰って来て!」

リィ兄?
名前は関係なし?
でも、伊織君と同じだぁ。

"リィ"と呼ばれていた伊織君。
それを受けて、私は"リルフィー"と呼んだりしていた。
ネトゲは関係ないんだよ?

liberty(自由を勝ち取る)そして、
to be free as a bird (鳥のように自由に)
って意味を込めて。
1番目に大切なあなたへ。

ずっと生きていてほしいから……。

「時間みたい」

スマホをしまった彼はニコッと笑顔を見せる。

「世尾さん、ご帰国はいつですか?」

次、いつ会えるのかな?

「……5年か10年くらい先かな」

…すごく先なんだ。
その頃には私、もう大学生だね。
もしかして、就職してるかも…。

「そうなんですか……旅のご無事をお祈りしてます」

「ありがとう。花野ちゃんも元気で。また会おうな」

また会いたい。
今すぐにでもまた会いたい。

「はいっ!」

伊織君に似た世尾さんに、ちょこっと恋をしたんだと思う。

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