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僕ら× 1st.

第19章 雲の上 --Tk,R

小柴さんは俺たちには内密に、自分の生命を投げうって次世代に継ごうと考えている。

彼の一計を聞いて、読めない俺じゃない。
本人はごまかすだろうから、追求はしないけど。

恩人の自爆なんて見過ごすわけにはいかない。
彼の計画遂行は途中まで。
俺が逝かせない。

「これ以上、彼女を巻き込めない」

無理なんだ。
俺に残されているのは、伊織としての再会後の略奪。

「……何とかしてやりたいのに、力になれずにすまない」

彼女個人ではなく、宮石家に恩のある彼を、このどうしようもない俺の我儘につきあわせるにも限界がある。

誰かが煮え湯を飲むしかないんだ。
小柴さんはもう充分じゃないか。
だったら、俺が。

「小柴さんは俺と彼女を何度も助けてくれてる。謝らないで」

そうして、もうひとりの犠牲者、花野……。
キミを苦しませて、本当に…。
傍にいてあげられなくて、本当に…。

…………。
でも、花野、心から愛してるよ。

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