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僕ら× 1st.

第3章 2人の証 --Ior,Hzm

***

1学期最終活動日の音楽室。
つぎに僕がここに足を踏みいれるのは、約1年2か月後。

ピアノを弾いている彼女に、スマホのカメラを向ける。
途中で気がついた彼女が、撮るの?とびっくりした顔をするが、照れながら弾き続けてくれた。

「え?動画だったの?」

「そうだよ。だって、パシャパシャ音が鳴ったら、気が散るだろ?」

「む。じゃあ、私も撮る!リル、ドラム鳴らして!」

やや命令口調でドラムを指差し、僕にスマホをかまえる。

「僕はいいよ」

「私がほしいの!」

それは、僕への仕返しというか、ノリなんだよね?

そう思いつつも、一番気にいっているリズムを思い浮かべる。

「仕方ないなぁ…カッコよく撮ってね」

「だぁいじょうぶ!モデルがいいから!」

ここは、動画を撮られていると意識しないでいこう……。
カメラをかまえる彼女を一瞥し、視界を閉じて静かに息を吐き。
目を開けると同時に僕は、乾いた細かい音を並べたてた。

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