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僕ら× 1st.

第20章 夏祭り --Hzm,Mkt,Ar,Kn

しぶしぶ大学に戻った俺、夏期休暇に入るとすぐに帰国する。

「最近、元気?」

学校にちゃんと通ってるのはびっくりした。
無理して頑張ってるんだな。

「うん…もう大丈夫!ね、お兄ちゃん、彼女いるって楽しい?」

夕食を済ませた妹と俺は、リビングのソファにもたれる。

こんな話題になったのは、現地の彼女から俺に暑中見舞ハガキが届いていて、妹に見られてしまったから。
住所、教えてなかったのに調べたんだな…、嫌だな…。

「まあまあ、かな。……ハニィは告白されたりしないの?」

されないわけないよな。
まして彼氏伊織がいなくなった今は狙われまくってんだろ?

ただ、妹はおとなしいから、男もおいそれとは近づけないかも。
男だって臆病な上にプライドもあったりするから、女のコからの好意が見えなきゃ、そう容易くは告れない。

「いや、でもっ」

「好みじゃないんだ?」

「まだ早いかなって」

「ハニィの好みってどんな男?」

初恋の相手がリィなのはわかってはいるけど。

「私、お兄ちゃんみたいな人がいいな」

ニコッと彼女は俺に笑顔を振ってくる。

「ふっ、嬉しいこと言ってくれるな」

嬉しい反面、ちょっと寂しいけれど。
と思った俺の脳天に、彼女はいかづちを落とす。

「えへっ。私、お兄ちゃんと血が繋がってなければよかったな」

「っ」

「そしたらぁ、私が"好きです"って言ったら、お兄ちゃん、つきあってくれた?」

「もちろん、つきあったよ」

動揺を悟られないように手短に答える。

ていうか、そんな告白はさせないよ。
俺からどんどんお前の領海に侵入する。

「お兄ちゃん、調子いいっ!」

キミはそう言って余裕たっぷりに笑うけど。
本当にそう思ってるよ。

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