無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「で、どうだったのよ？花火も行ったんでしょ？」

「うん。すごく混んでてね」

先パイが守ってくれて。

「じゃなくて！わかるでしょ？私の聞きたいことは？」

「……俺とつきあえって言われた」

先パイが男らしくって。

「ぷ。先パイらしい……」

「私、もう少しで頷いちゃうとこだった」

ドキドキしたから。

「頷かなかったの？」

「だって、私は伊織君を好きなんだもん。甘えるわけにいかないよ」

小ずるい私じゃいけない。

「甘えてもいんじゃない？アル先パイ、絶対喜ぶよ？」

「ううん。ニセモノの好きはよくない」

伊織君とのフリのおつきあいで、私はこれだけは学んだから。

まして、あんな優しい吉坂先パイに嘘なんてつきたくない。
私は先パイの中に伊織君を見てるだけ。

こんな歪んだ心じゃダメなのよ。
先パイの隣にいたい気持ちはあるけれど、こんな私じゃダメなんだ。

「花野って、私より頑固なんじゃない？」

マコは「ふぅっ」と首を傾けた。