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僕ら× 1st.

第3章 2人の証 --Ior,Hzm

妹を図書館まで送ったあと、迎えの時間を確認して、俺はあたりをうろついた。
何といっても今は8月。
ひざしが強いので、地下街にもぐる。

照明が煌めくアクセサリー店に、自然に目が行き店内を覗く。
ネックレス、俺が買ってやりたかったな。

でもいまさら、妹にリィと比較されるようなものは渡せない。
中学生の妹にピアスもないだろうし、時計は入学祝であげたところだし。

ふと、ブローチのコーナーに目がとまる。
これなら、カバンにだってつけられるよな?

普段使いしてほしいので、布製のさりげないものを…。
丸いコロンとした刺繍入りブローチにターゲットを絞る。
ヒヨコとウサギ、どっちがいいかな?
あれ?もしかして、これってスナメリじゃあ?

「これ、お願いします」

妹の喜ぶ顔を思い浮かべながら、レジカウンターに商品を出す。

「帆澄!何してんの?」

突然、背後から知った声が聞こえた。
榎本圭(ケイ)、俺と同じ弁護士を目指す悪友だ。

「買い物」

「そりゃあわかるよ。恋人へのプレゼント?」

「いや、妹」

「へっ?ああ、いたっけ」

「いるよ。お前も年に1回くらいあげろよ」

「普通、妹にあげないだろ?」

「あいつはもう親に貰えないから、俺がやらなきゃ」

これは、いいわけ。
きっと俺は親がいたとしても何かにつけて妹にあげたくなる。

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