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僕ら× 1st.

第22章 遭難 --Shu,Ar

「そうか……。なら、連絡先は変えないでやってよ?」

それが伊織の意思ならば、連絡は必ず来る気がする。

「そうですね。あいつなら、思念だけでメールを打ちそう…」

ありがとう、依田。

……伊織、よかったな。
彼女のことを話せる友だちができて。

「なあ、お前。今の誰かに喋った?」

「いえ。伊織は内緒にしたそうでした。でも、お2人は仲間内と思ってますし」

「うん、ありがとう。そうなんだけどな、アルには言わないでやって?」

「……わかります」

うん。
そういや、こいつ、あの時のヨーダだったな……。

「お前は花野ちゃんとつきあいたいの?なら、遠慮しなくていい」

と言うと、依田は手のひらで降参を提示する。

「いや。俺は、友だちで。宮石のことは好きだけど、見込みのないことをずっと想うには、俺は弱いから」

「ややこしいことを言うなぁ、お前」

「伊織と宮石を覆すことはできない。そう思った時点で、資格喪失」

「あー、言い直しても変わんねぇ」

"自分は諦めた"と簡単に言えねぇのか?
流石、伊織の親友だなっ。

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