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僕ら× 1st.

第22章 遭難 --Shu,Ar

「うっわ、ぬっる」

冷と温、混ぜ合わせたコーヒーは、絶妙な温度加減。

「私だけ温かいのいただいてすみません。レンジがなくなっちゃって」

「レンジがなくなった?」

アルと2人で聞き返す。

「はい。古かったから壊れて処分されたのかもしれません。もともとが、家庭科室から譲ってもらったものですし」

それは、もしかしたらグルーピーの嫌がらせ?

「他になくなったものは?」

そこで花野ちゃんは言葉を濁した。
何か大切なものがなくなったんだな…。

「ええ……。あ、そだ。これも混ぜてみます?」

はぐらかすように話題を他に回しだす。

俺は室内を見回してみる。
花野ちゃん由来といえば……楽譜……。
わかっても、ここで言葉を荒げるなんてできねぇ。

アルも気づいたようで唇を中に巻き込んでしかめているので、俺はヤツの肩にポンっと手を乗せた。

「コーヒーと紅茶を混ぜる?」

俺はアルに言葉を促すとヤツも汲んできた。

「それ、うまいのか?」

「私も飲んだことないのですけど、鴛鴦茶(えんおうちゃ)ってゆうらしいです」

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