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僕ら× 1st.

第22章 遭難 --Shu,Ar

文化祭が終わると、すぐにやってくるきらびやかな季節。
今週で2学期終了。

その朝、登校の時に尋ねてみた。

「クリスマス誘うの?」

「ああ……」

彼女からの好意を感じているアルは口角を上げて、だけどそれ以上の言葉は拒んだ。
…もうひと押しだよな。

かえりのHRは受験生の俺らに冬休みの過ごし方をクドクドと担任から。

やっと終わったとスマホを覗くと、依田からメッセ。

『第2音楽室大至急』

ん?
何かあったのか?

とりあえずアルにも転送し、俺は先に急いだ。

音楽室前は、この間を余裕で追い越す人だかりで。
少し鼻につく臭いとともに、教師がワタワタと動いていた。

「お前ら、離れろ!ここは閉鎖だ!」

ある教師が生徒に言い渡す。

囃し立てる生徒の奥に、廊下端に座り込んだ花野ちゃんがいて。
その肩をマコちゃんが抱き、依田も膝をついていた。

「何の騒ぎ?」

俺が声をかけると、依田が立ち上がる。
そのままヤツは、俺を2人から離れた場所へ誘導した。

「本條先パイ。今、音楽室の中、エライことになってます」

ああ、そうだろうなぁとは思ったけど、一体どうして?

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