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僕ら× 1st.

第22章 遭難 --Shu,Ar

依田?
1年は今、スキー中だろ?

なのにラインじゃなくて電話してくる?

動きを止めて、スマホ向こうの慌てる声に集中する。

「すみませんっ、授業中にっ!宮石がっ、行方不明です!」

は?
どういうことだ?何があった?

心臓が騒ぎ立てる中、俺のスマホから追跡機へのリンクにアクセス指示を出す。
そのうちに、さっと机の上を片付ける。

「すぐ向かう。お前は無事か?」

「はい。クラスのロッジにいます。今朝出た宮石のグループ5人が昼を過ぎても帰って来ません!」

依田の説明を聞きながら、俺たちは廊下を急ぐ。

「5人って全員生徒?」

「はい、そうです。誰もスマホなんて持ち歩いていません」

インストラクターも教師もついてねぇのか。

「そっちの天候は?」

「今のところ晴れています。鱗雲が西に。風は弱いです」

鱗雲……遠いなら今夜は大丈夫か?
でも、雪山……。
ホワイトアウトしなくっても危険だ。

「ビーコン(持ち主の所在がわかる機械)持ってるヤツはいる?」

「何ですか?それ」

雪山行っといてビーコン不携帯か?
まぁ、普通のスキーなら使わねぇよな…。
スマホビーコンもなし。

残るは俺の発信器……。

「あとで自ら調べろ…救助は?」

「出てるみたいです。だけど、とにかく先パイにお知らせしようと……すみません、ご心配かけてっ」

「いや、知らせてくれてありがとう。お前は安全なとこから連絡くれな。時間かかるけど、これから向かうから」

連絡を切り、クルマに乗り込む。

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