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僕ら× 1st.

第22章 遭難 --Shu,Ar

「軽、飛ばせるか?」

軽とは、軽飛行機。
セスナで有名な、時速約300キロの小さな飛ぶ乗り物。

「弱風なら、できるだけ近づこう」

「花野ちゃんは、山の…あれ?」

スマホの追跡画面を見ながら、俺はいぶかしむ。

その間にクルマを発車させた柊は、ハンズフリーで大輔に連絡する。

「雪山でアルの彼女遭難。スキーウェア一式、アルと俺の出して。準備!レシプロ機、毛布と……」

俺は柊に代わり指示をだす。

「水筒にお湯、チョコレート、スマホ充電器、ビーコン!…S州東北部で着陸可能地点探せ。そこでレンタカー待機!そして、宮石花野の自宅電話番号。M高1年の宮石、花野!スマホに送ってくれ、よろしく!」

柊が言った、"アルの彼女"……。
だけど、にやけてる場合じゃねぇ。

伊織から花野ちゃんに渡った発信器は、鞄内にあった。
きっと財布かポーチだろう。

スキーに行くなら、と思って出立前に彼女の手首に新たに取りつけたのだけど…。

その赤と緑の点が示すのは、両方ともどこかの建物内だった……。
天候が悪くないのに、ずれてるのか?
磁気嵐はもう去ったはず。

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